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北朝鮮の労働党中央委員会総会(第8期第3次全員会議)が昨日、4日間の日程を終え、閉幕した。
最終日では組織(人事)問題が話し合われ、今朝の朝鮮中央通信によると、政治局委員と政治局委員候補の召還および補欠選挙、党中央委員と中央委員候補の召還と補欠選挙、さらには国家機関幹部の解任および任命があったと報じられているが、1月の労働党第8回大会で新設された党第一書記の人選に関する発表はなかった。第一書記のポストは総会で選出されることになっているので本来ならば、今総会で選出されてしかるべきだ。
依然として空席のままなのか、それとも人選しても発表を控えているのか、どちらにしても謎が深まるばかりだ。
それにしても、新設されて半年も過ぎたのに空席のままと言うのは極めて不自然である。過去に前例がないからだ。
今年1月に改正された労働党の規約では第一書記は「金正恩総書記の代理人」と定められている。こうしたことから単に党No.2のポストに留まらず、金総書記の後継者との見方も一部にはある。
北朝鮮の後継者は2代目、3代目がそうであったように世襲である、当然、次、即ち4代目も世襲ということになる。
金正恩総書記が銀河水管弦楽団の専属歌手だった李雪主(リ・ソルジュ)夫人と結婚したのは2009年で、李夫人がファーストレディーとしてお披露目されたのが2012年7月25日であるが、二人の間に子供が何人いるのか、正確なことは何一つわかっていない。
(参考資料:金正恩総書記に後継ぎとなる子供は何人?)
子供を目撃しているのは唯一、米国のNBA選手、デニスロッドマンだけである。ロッドマンは2013年9月に訪朝した際に金総書記の別荘で「キム・ジュエ」という名前の次女を紹介されている。
韓国の情報機関「国家情報院」によると、李夫人はすでに2010年に女の子を産んでいる。ロッドマンの証言が正しければ、李夫人は2013年までに2人の女の子を産んだことになる。
李夫人については4年後の2017年初頭に「妊娠説」が飛び交ったことがあった。この年の8月に国情院は国会情報委員会で「李雪主が2月に3人目を産んだ」と報告していた。仮に3人目が男の子ならば、まだ4歳の幼児である。
後継者に指名された金総書記が党軍事副委員長の肩書を授かり、公の場に現れたのは2010年の党代表者会で、当時26歳だった。第一書記が息子のために用意したポストにしてはあまりにも早すぎる。息子用のポストならば、成人になってからでも遅くはない。
では、実妹の金与正(キム・ヨジョン)党第一副部長を据えたのかというと、その可能性も低い。与正氏は党最高幹部である政治局員入りもしていない、党序列では40位前後の妹をNO.2に据えるのは超法規的措置以外のなにものでもない。仮に妹に決めているならば、今中央委員総会で発表があっても良さそうなものだ。
(参考資料:「影のNo.2」――威風堂々の金与正の「知られざる実像」)
朝鮮中央テレビが配信した党中央委員総会の映像をチェックすると、与正氏はひな壇ではなく、一般席に座っていた。それも最前列でなく、2列目である。
最前列には李鉄萬(リ・チョルマン)農業部長や金栄煥(キム・ヨンファン)平壌市党責任秘書ら政治局員候補らが陣取っていたが、与正氏はいつもの黒のスーツを着て紅一点政治局入りしている朴明順(パク・ミョンスン)軽工業部長の左側後方に座っていた。党第一書記ならば、あるいは内定しているならば、このような席にいるのはあり得ない。
そうすると、消極法からすると、最側近の趙甬元(チョ・ヨンウォン)政治局常務委員兼党書記(組織指導部担当)の可能性が高い。
最側近の趙甬元・組織担当書記(政治局常務委員)(労働新聞から)
今年64歳の趙氏が公の場に登場したのは2015年2月で、朝鮮中央通信の報道によると、党副部長として金総書記の科学技術殿堂に随行していた。
翌2016年5月の党第7回大会で中央委員(序列41位)に選ばれると、2019年4月には副部長から第一副部長に昇進。さらに、2020年1月には政治局員候補に選出され、序列は17位に急上昇した。
今年1月の党大会では政治局員を飛び越え、金総書記を含め5人しかいない政治局常務委員に抜擢され、軍No.1の李炳哲(リ・ビョンチョル)党書記及び金徳訓総理らをごぼう抜きして一気に序列3位に躍り出ていた。
しかし、趙氏が党第一書記に任命されたとしても、後継者ではない。趙氏は金ロイヤルファミリーの一員ではないからだ。白頭の血統を引き継いでいない限り、後継者の可能性はゼロである。
それでも金総書記が趙氏を党第一書記に起用したとするならば、第一書記のポストは総書記を補佐する8人の書記の中の筆頭という位置づけだ。国務委員会の第一委員長と同レベルとみればよい。ちなみに国務委員会委員長は金総書記が兼ねており、第一委員長は党No.2の崔龍海政治局常務委員兼最高人民会議常任委員長である。
党第一書記のポストが後継者絡みで国際的に注目されたことで誤解を招きかねないとして仰々しく公表するのを避けた感も否めない。仮に趙甬元氏ならば、今後の動静報道でさりげなく伝えるのではないだろうか。
(参考資料:北朝鮮労働党第8回大会の人事を徹底解剖!新たな党序列30位)
東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊
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