韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は、外交欠礼まで犯して「脱原発政策」を守ったといえるだろう。そのうえ、石炭火力発電も29年後には全廃して、二酸化炭素を排出しない電気自動車を普及させる施策を強力に進めている。すごーい「親環境(=環境にやさしいの意)」の政権だと絶賛する向きもあろう。
しかし、韓国中の車が電気自動車になったとき、供給する電力はどういう方法で産み出すのか。「K-親環境」の中身をのぞいて見よう。
文大統領は11月初旬、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に出席した足でハンガリーに赴き、原発セールスを展開した。ハンガリーの大統領との首脳会談で、「韓国電力(国営企業)に原発建設を発注してくれ」と頼んだのだ。
国内では「脱原発」、海外では「原発売り込み」-。これだけでも、うさん臭い国の面貌が見えてくる。
首脳会談後の共同新聞発表で、ハンガリー大統領は「原発の使用がなければ『脱炭素』は不可能とは両国の共通認識だ」と述べた。同席していた文氏は、この点について何も語らなかった。
世界のメディアが「韓国が脱原発政策を放棄した」と受け止めたのは当然だ。日本にも「韓国は原発容認に転じた」と信じている専門家がいるそうだ。無理もない。
しかし、そうではない。新聞発表の直後、文氏の側近はソウルで非公式の背景説明をして、こう述べた。
「文大統領は再生可能エネルギーと水素エネルギーの比率を高め、炭素中立を実現させていくべきだと述べた。(このような言葉を)ハンガリー大統領は本人の理解で話したようだ」と。
つまり、ハンガリー大統領の勝手解釈ということにして、韓国内での「脱原発政策」不変の立場を守って、支持者に媚びたのだ。
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