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「ブラックシープセーター」から「リベンジ・ドレス」まで、ダイアナ妃のあのファッションを再現できるヒントも!
ダイアナ妃は、その短くも並外れた人生において、ファッションを武器にしていた。女性が軽視される文化のなかで育ち、抑圧を強いるロイヤルと結婚したダイアナ妃にとって、身につけた服が何よりも信頼できる表現手段となる場面が幾度となくあった。
これは、英国のファッションライターであるエロイーズ・モランが、近刊書『The Lady Di Look Book: What Diana Was Trying To Tell Us Through Her Clothes』のなかで繰り返し述べている。モランは、「彼女は非常に早い段階から、(ファッションを通して)人々に物語を伝える、ないしはコミュニケーションを取っていたのです」「『90年代になってから反抗的になったのではないか』と考えている人が多いようですが、実はもっと前から反抗的な兆候があったのです」と語っている。
ダイアナ妃のスタイルはそれ以来、繰り返しお手本とされてきた。しかし、ファッション業界で90年代から2000年代初頭のトレンドが復活していることや、『ザ・クラウン』や『スペンサー』などのダイアナ妃の半生を描いた映像作品が絶大な人気を誇っていることもあり、ダイアナ妃のスタイルはいま、特に凄まじいリバイバルを遂げている (彼女が愛用したバイクショーツとスウェットシャツのルックは、TikTokのトレンドにもなっている)。
妃のリトル・ブラック・ドレスや、肩を強調したパワー・ブレザー、繊細なパールは、人気絶頂だった当時と同様に、いまでも文化的な価値を持っているが、悲劇的な死から数年後には新たな意味を持つようになった。
数多くのブランドが、ダイアナ妃が着ていた服の複製品や、それに近いもの、あるいは完全なレプリカを販売している。最も有名な例は、ダイアナ妃が初期に着用していたセーターを複数製造した、「” data-vars-ga-product-id=”96984ba9-d8f6-4769-9028-017318913759″ data-vars-ga-product-price=”0.00″ data-vars-ga-product-sem3-brand=”” data-vars-ga-product-sem3-category=”” data-vars-ga-product-sem3-id=”” data-affiliate-network=”” data-affiliate=”true”>ローイング・ブレザーズ」かもしれない。他のブランドでは、ミニドレスやプッシーボウブラウス、ハイウエストデニム、ダッドスニーカー、テーラードコート、チェック柄のスカート、パフスリーブのトップスなど、ダイアナ妃のお気に入りアイテムを取り揃えている。しかしモランは、若者たちがダイアナ妃のスタイルに夢中になっている理由は、服そのものよりも、それを着ているダイアナ妃自身の人間性にあると述べている。
モランが初めてインスタグラムのアカウント(@ladydirevengelooks)を作成したとき、彼女は25歳で、結婚生活の破綻を経験していた。このアカウントは、チャールズ皇太子との離婚をきっかけに“リベンジ・ドレス”を着用したダイアナ妃の精神を踏襲しようとして作ったそう。しかしモランは、より研究を重ねていくうちに、オフショルダーのリベンジ・ドレスを凌駕する、ダイアナ妃自身の愛すべき魅力を発見し、オーディエンスもそれに気づいたという。それを裏付けるかのように、現在のフォロワー数は11万8000人を超えている。
モランは、「ダイアナ妃の魅力は、服だけではないと思います。ダイアナ妃はまさにフェミニストのような存在でした。彼女は、本当につらい時期を経験し、最後にはそれを乗り越えました。インターネット上に表面的なキャラクター(人間性)があふれているいま、人々はさまざまな側面を持つダイアナ妃に共感しているのだと思います。インフルエンサーの世界は、大きなお尻やインスタグラムのために用意されたファッションなど、あまりにも虚構に満ちているのです」と語る。
ダイアナのような本物志向を目指す人のために、モランは次のようなアドバイスを送っている。「ダイアナ妃が全盛期に着ていたものをそのまま取り入れるのではなく、彼女のスタイルのどの部分が自分(のスタイル)と類似しているのかを考えてみてください。それが、妃のスローンレンジャー時代のものなのか、キッチュな柄物なのか、ボリューミーなネックラインまたはアスレジャーなのかは人それぞれです。ダイアナ妃がそうであったように、自分が服を通して伝えたいメッセージは何かを自問してみてください。そして、自分のスタイルを構築するための投資用のアイテムをいくつか選びましょう」
インスピレーションを得るために、ダイアナ妃の最もアイコニックなルック(その多くは『ザ・クラウン』と『スペンサー』のスクリーン上で再現されている)を、いくつか振り返ってみよう。
オリーブカラーのブレザーに白シャツとパンツを合わせ、シックなベージュのローファーとダークブラウンのベルトで仕上げた、ダイアナ妃の最高のワークウェアのひとつ。1994年にダイアナ妃が着用したこのルックは、いまでも街中でシックに着こなすことができる。
モランは「90年代、彼女は30歳を目前にしていましたが、30代になると着こなしの足し引きができるようになります。自分のスタイルを知り尽くした彼女のルックには、明らかに人生で自分を貶めた男性たちに仕返しをするような、鋭いエッジが感じられるのです」と語る。
ダイアナ妃はクラシックなデニムを好み、パーティやガラに参加しない日は、ここぞとばかりにデニムをチョイスした。ダイアナ妃の代表的なデニムルックといえば、息子のウィリアム王子&ヘンリー王子と一緒にスキー旅行に出かけたときのジャンプスーツ。黒のライダースジャケットにブラウンのベルト、白のチャンキーブーツを合わせたこのスタイルはいま、かつてないほどトレンドにフィットしている。
ダイアナ妃がはじめてこのピンクのワントーンコーデを着用している姿が撮影されたのは、ハイグローブの自宅でのこと。『ザ・クラウン』シーズン4の、ダイアナ妃がバッキンガム宮殿の新しい環境に慣れ始めたシーンでは、ダイアナ妃を演じたエマ・コリンがこのルックを再現している。
ダイアナ妃がポロの試合を観戦した際に披露した、スウェットトップスにブレザーを合わせたスタイルはファンの間でも人気が高く、ワークウェア×カジュアルのトレンドにダイアナ妃が与えた影響は計り知れない。「ローイング・ブレザーズ」は、ダイアナ妃がこの日に着ていたブリティッシュ・ラング・ファウンデーションのクルーネックのスウェットにインスパイアされたアイテムを販売している(アイコニックな赤いバルーンのプリントも忠実に再現!)。
『ザ・クラウン』で再現された、もうひとつのルックがこちら。イエローのオーバーオールとフロラールプリントのブラウスは、当時のダイアナ妃のスタイルを見事に物語っている。ダイアナ妃はこの時期、ビブカラーやウールのセーターなど、ソフトでフェミニンなものを好んでいた。
「ポロの競技場では、おとぎ話に出てくるプリンセスのような、カントリー風の甘いパステルカラーを取り入れていました」とモランは説明する。
ダイアナ妃は、自身のプリンセス・オブ・ウェールズとしての立場を理解するようになると、ファッションのスタイルをシフトしていった。80年代にはタータン、チェック、千鳥格子など、あらゆる柄のコートやブレザー、スカートでクローゼットを埋め尽くしていたとモランは言う。黒と白の千鳥格子のブレザーに大胆な黒の帽子を合わせたこのスタイリングは、妃を象徴するルックのひとつになった。
クリステン・スチュワートは『スペンサー』の撮影時に、クリスマスらしいタータンチェックのブレザードレスを着用した。この映画は、英国王室の別邸サンドリンガムで過ごしたクリスマス休暇が舞台となっている。
モランは「時の流れとともに、彼女の襟の変遷を観察するのは面白いです」「首元までしっかりとボタンをしめたパイクラストカラー(フリルの付いたスタンドカラー)から、オーバーサイズのプリンセスカラー、プッシーボウブラウスへと変化していきます。そして最終的には、(フェミニンな)ビッグカラーから完全に離れて、男性用の襟にたどり着くのです」と語る。
王室に入って間もない頃に着ていた、いたずらで少しぎこちないセーターのひとつ「ブラックシープセーター」も、ダイアナ妃らしいルックとして愛されてきた。大胆な柄にもかかわらず(あるいは大胆な柄であるがゆえに)、このルックは王室のなかで目立とうと奮闘していたダイアナ妃の心情を反映した、最も意味深いファッションのひとつとして語り継がれている。
パフスリーブは、ダイアナ妃の死後、大きな復活を遂げたトレンドのひとつ。この黒と白のブラウスは、エリザベス・デビッキがエマ・コリンの後任として出演する『ザ・クラウン』のシーズン5に登場することがほぼ確実視されている。
ダイアナ妃のファッションを語るうえで外せないのが、かの有名なアスレジャールック。こちらは、妃がロンドンの街をランニングするのに、スウェットにバイカーショーツをスタイリングしたもの。モランが最も大切にしている所持品のひとつが、1995年にチェルシー・ハーバー・クラブの前で撮影されたダイアナ妃が着ていたスウェットと同じスウェットなのだそう。
「私は『ラルフ ローレン USA』のオリジナルのスウェットをいくつか持っていて、そのうちの2着はダイアナ妃が持っていたものと全く同じものです。また、ヴァージンアトランティック航空のオリジナルのスウェットも持っていますが、これは本当にレアなものです。スニーカーに足首までの長めの靴下を合わせるスタイルが気に入っています」
ダイアナ妃のドレスを予算内で再現しようとすると(王室と同等のポケットマネーが手元にある可能性は低いので)ハードルが高いが、妃がレッドカーペットで見せた魅力的な姿を彷彿とさせるようなルックに仕上げる方法はある。
ダイアナ妃は『白鳥の湖』の公演に出席した際、デザイナーのキャサリン・ウォーカーが手がけたゴージャスなドレスを着用した。ウエストが絞られた白い長袖のブラウスと淡いピンクのスカートを合わせれば、このルックのように仕上げることができる。
ダイアナ妃のルックでひときわ目を引くファッションは、このイエローのチェック柄コートのようなアウターウェアだったが、クロップドトップス&フルレングススカートでも同じようなルックを再現できる。
妃のコートに近いデザインのこちらのアンソロポロジーのセットアップは、ブーツと太めのウエストベルトを加えれば、さらにダイアナ妃らしくなる。また、彼女のほかのお気に入りアイテムとミックスするのもオススメ。
「ダイアナ妃のキーアイテムを取り入れるなら、ダッドスニーカー、シャープなテーラードコート、パフスリーブのブラウス、襟のディテールがユニークなトップスなどに挑戦してみましょう」とモランは提案する。
ダイアナ妃の最もアイコニックなファッションといえる、クリスティーナ・スタンボリアンによるオフショルダーのこのドレスは、「リベンジ・ドレス」とも呼ばれ、チャールズ皇太子との別居を受けて、皇太子に中指を立てているようにも見えた。エリザベス・デビッキが最近、『ザ・クラウン』の撮影現場でこのドレスを着用しているところを目撃され、ファンを騒然とさせている。
シンプルな白シャツは、ダイアナ妃の生涯を通してワードローブの定番だったが、最も有名なのは、1997年に3日間にわたってボスニアを訪問し、地雷使用に対する強力なキャンペーンを展開したときのこのルックかもしれない。
「人々のプリンセス」と呼ばれたダイアナ妃は、色物を避けることは決してなかった。この赤とピンクのブレザードレスは、彼女の最も鮮やかな装いのひとつ。エマ・コリンは『ザ・クラウン』のシーズン4でこのルックに似たアイテムを着用し、ツートンカラーのアンサンブルの評価をさらに高めている。
Translation: Masayo Fukaya From ELLE