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10/31(日) 6:01配信
Photo: Adobe Stock
唾液はどこから出ているのか?、目の動きをコントロールする不思議な力、人が死ぬ最大の要因、おならはなにでできているか?、「深部感覚」はすごい…。人体の構造は、美しくてよくできている――。 外科医けいゆうとして、ブログ累計1000万PV超、Twitter(外科医けいゆう)アカウント8万人超のフォロワーを持つ著者が、人体の知識、医学の偉人の物語、ウイルスや細菌の発見やワクチン開発のエピソード、現代医療にまつわる意外な常識などを紹介し、人体の面白さ、医学の奥深さを伝える『すばらしい人体』が発刊。たちまち8万部突破のベストセラーとなり、「朝日新聞 2021/10/4」『折々のことば』欄(鷲田清一氏)、NHK「ひるまえほっと」『中江有里のブックレビュー』(2021/10/11放送)、TBS「THE TIME,」『BOOKランキングコーナー』(第1位)(2021/10/12放送)でも紹介されるなど、話題を呼んでいる。 坂井建雄氏(解剖学者、順天堂大学教授)「まだまだ人体は謎だらけである。本書は、人体と医学についてのさまざまな知見について、魅力的な話題を提供しながら読者を奥深い世界へと導く」と絶賛されたその内容の一部を紹介します。好評連載のバックナンバーはこちらから。 ● 驚くほど進化した手術器具 米倉涼子さん主演の「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)の新シリーズが始まり、今回も変わらず高視聴率を記録している。ユニークな脚色が人気のドラマだが、その一方、手術シーンではリアリティが追求されている部分も多い。例えば、手術器具である。 ドクターXでは毎回、数多くの手術器具が登場するが、これらは実際に現場で使用されているものばかりであり、使い方もリアルである。そこで、この記事では、手術器具について分かりやすく解説してみよう。 手術に使われる金属製の器具には、人物名のついたものが非常に多い。開発者の名にちなんだものと思われるが、コッヘル、ペアン、ミクリッツ、リスター、アリス、バブコック、ドゥベーキー、アドソンなど、数え上げればきりがない。これらは一つ一つ形や用途が異なり、場面に応じて使い分ける。 手術中には膨大な数の器具が台の上に載り、外科医が要求する器具を看護師が次々と手渡していく。 よって手術中は、これらの名前を唱える声が頻繁に飛び交う。日本語でいうなれば、「鈴木!」「佐藤!」「本田!」「山本!」「斉藤!」などと言い続けているようなものである(もちろん日本人名の器具も少ないながらある)。 こうした金属製の器具は一般に「鋼製小物」と呼ばれ、リユースである。つまり、厳重に滅菌された上で何度も使用されるものだ。一方、近年は医療機器メーカーが開発した電気的なデバイスが急速に増えてきた。これらの多くはディスポーザブル、つまり使い捨てである。 従来は金属製のハサミで切っていたところを、熱の力で凝固しながら切開したり、糸で血管を結んで止血していたところを、電気的にシーリングしたり、といった場面で使える専用の器具が増えているのだ。これらを現場では「エネルギーデバイス」と総称している。 こうしたエネルギーデバイスには、メーカー各社が比較的「かっこいい名前」をつけることが多い。その数も膨大にあるが、例えば「サンダービート(オリンパス)」「ハーモニック(ジョンソン・エンド・ジョンソン)」「リガシュア(メドトロニック)」など、さながらロボットか武器のごときスタイリッシュな名称が与えられている。 また、呼び名だけでなく、そのフォルムもまた一種の武器のようである。器械が好きな人なら、きっとワクワクするようなデバイスが数多く開発されているのだ。技術の進歩とともに、こうした高性能な器具が次々と現場に投入され、より安全な手術が実現しているのである。 もちろん、電気的なデバイス以外にも、便利な手術器具は次々と開発されている。その代表例が自動縫合器である。その名の通り、自動的に縫ってくれる器械だ。 食べ物の通り道である消化管は、口から肛門まで一本道だ。どこかを切り取れば、上流と下流を再び縫い合わせなければならない。 かつてはすべて人間が手で縫っていたのだが、近年は多くを器械に任せられるようになった。たとえるなら、裁縫道具を使って手で布を縫うことと、ミシンを使うことの差に相当するだろう。手術用の自動縫合器を使うと、ホチキスの針のような金属製のステープルが細かい間隔で走り、あっという間に縫うことができるのだ。 もちろん今でも手縫いが必要な場面はある。だが、便利なデバイスの導入によって、時代とともに、より安全かつ均質な治療が提供できるようになってきたのだ。 医療ドラマなどのエンタメで手術が扱われるときは、たいていカリスマ的な一人の天才にスポットが当たる。例えばドクターXの大門未知子は、その最たる例である。確かに、誰も真似できない技術を持つゴッドハンドは、人間ドラマを大いに盛り上げてくれるものだ。 だが、手術を受ける身になってみれば話は別である。全国どこでも同じ水準の手術が受けられるほうが、よほどありがたいはずだ。「誰にも真似できない技術」よりは、「誰でも真似できる技術」が普及するほうが、多くの人に利益をもたらす。利便性の高いデバイスは、こうした技術の普及に大いに役立っているのである。
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